演劇におけるトリガーアラートの必要性と実態

舞台観劇が大好きで、週末はたいてい劇場にいる昭和蠍座生まれのAYです。
今回は「演劇とトリガーアラート」というテーマについてご紹介します。

◆そもそも「トリガーアラート」って?

トリガーアラートとは、観客が強い不安や恐怖を感じる可能性のある表現について、事前に知らせる取り組みのことです。
たとえば、

  • 自殺や暴力の描写
  • 性的暴力や虐待を想起させる場面
  • 大きな音や強烈な光の演出
    などが挙げられます。

「トリガー(引き金)」という言葉の通り、人によっては過去の経験や心の状態から、突然つらい記憶が呼び起こされてしまうことがあります。
映画やドラマだけでなく、演劇でも同じような状況が起こり得るのです。

◆なぜ演劇で特に注目されるのか

演劇は「生」であることが最大の特徴です。
観客と俳優が同じ空間を共有し、逃げ場のないリアルな体験が生まれます。
その没入感ゆえに、シーンによっては観客の心に大きな衝撃を与えることがあります。

テレビドラマや映画配信のように一時停止や早送りができないため、「思っていたより刺激が強かった」と感じても、その場から簡単には離れられません。
だからこそ、演劇におけるトリガーアラートは観客を守る重要な手段になるのです。

◆実際の現場ではどうなっている?

日本の演劇界では、まだトリガーアラートの導入は一般的ではありません。
ただし最近では、チラシや公式サイトに「自傷行為を連想させる表現があります」「強いフラッシュライトを使用します」といった注意書きを見かけることが増えてきました。

欧米ではより積極的で、劇場や団体ごとに「上演中に含まれる可能性のある内容リスト」を公表するケースが多いです。
中には「注意事項を知りたい人だけが読めるページ」を作り、事前に確認できる仕組みを整えている劇場もあります。

◆反対意見もある

もちろん「ネタバレになるのでは?」「表現の自由を制限してしまうのでは?」という声もあります。
実際に舞台作品は“意外性”が醍醐味になることも多く、制作者側にとってはジレンマとなる部分です。

ただ、近年は「観客の安全を守ること」と「芸術的なサプライズを保つこと」をどう両立させるかが議論されており、両方のバランスを探る流れが少しずつ広がっています。

◆演劇を楽しむために

演劇は人の感情を強く揺さぶる力を持っています。
それが魅力である一方、思いがけない心の負担につながることもあります。
トリガーアラートは、観客が安心して作品を受け取るための“入口”を整える工夫だといえるでしょう。

これから演劇を観てみたい方は、気になる作品の公式サイトを覗いてみると、注意書きや演出の特徴が書かれていることがあります。
安心できる状態で観ることで、舞台の魅力をより深く味わえるはずです。

「トリガーアラートがあることで、演劇を観に行きやすくなる人もいる」
そんな視点を知っていただけたら嬉しいです。

AY

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